この将棋はひどい将棋であった。
前局も棋譜に載せられない無残な将棋で、腰の浮いた
指し方で一方的に負けてしまったが、本局はそれに輪をかけた覇気のない将棋。
71手目
「1六歩」と垂らされた局面では完封負けである。
何とも言えない気分で局面をながめ
ていたが、「相手の金銀は左右に分かれている。
ここでしっかり受ければそう簡単には
負けないはずである」という信念のもとで「4八桂」と打ち、逆転のきっかけとなった
。
ただ、あらためて71手目の局面を見るに、へぼとはいえよくそんな気持ちになれたも
のだと思う。
出来の悪い将棋ではあったが、棋力の差を考えると奇跡的な逆転の将棋で、その意味で
は記念碑的な将棋である。